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ビクターのレコードプレーヤー名機一覧

ビクターのレコードプレーヤー名機一覧|中古購入の注意点も解説

かつて日本のオーディオシーンを牽引し、数々の革新的な製品を世に送り出してきた名門ブランド、ビクター。その輝かしい歴史の中で生まれたレコードプレーヤーは、半世紀近い時を経た今なお、色褪せることのない魅力で多くのオーディオファンを魅了し続けています。この記事では、これからビクターのアナログサウンドの世界に足を踏み入れたいと考えている方、あるいは既に所有しているプレーヤーの価値を再発見したい方のために、ビクター レコード プレーヤーの歴史と魅力を深く、そして多角的に掘り下げていきます。

本編では、まずオーディオブームに沸いたビクターの歴史と昭和の名機たちを紐解き、ブランドの哲学と技術の進化を追体験します。そして、現在も中古市場で絶大な人気を誇るqlシリーズを含む歴代モデルの一覧を、詳細なスペックと共に紹介。さらに、見る者の心を捉えるアンティーク・レトロなデザインの機種が持つ普遍的な価値や、意外と知られていない手軽に楽しめるポータブル型も存在したというブランドの多様性にも光を当てます。オーディオの楽しみをさらに深めたい方には、真空管アンプと組み合わせる楽しみという、こだわりのリスニングスタイルもご提案します。

記事の後半は、より実践的な内容です。中古のビクター レコード プレーヤー入手ガイドとして、失敗しないための中古品やヤフオクでの探し方のコツから、資産価値を知る上で重要な現在の買取相場と査定ポイント、購入後の維持に欠かせないベルト交換など必要な修理についての知識、そして最終的な音の出口である最適なスピーカーとステレオの構成に至るまで、あなたが抱くであろうあらゆる疑問に答えることを目指しました。この記事を最後までお読みいただければ、今あえて選ぶビクター レコード プレーヤーが、単なる懐古趣味ではなく、現代においても非常に価値のある選択肢であることが深くご理解いただけるはずです。

  • ビクター製プレーヤーの歴史と代表的な名機がわかる
  • 中古市場での価格相場や賢い探し方を学べる
  • 購入後のメンテナンスや修理のポイントを理解できる
  • 最適なオーディオシステムを組むヒントが得られる

目次

ビクター レコード プレーヤーの歴史と魅力

  • ビクターの歴史と昭和の名機たち
  • qlシリーズを含む歴代モデルの一覧
  • アンティーク・レトロなデザインの機種
  • 手軽に楽しめるポータブル型も存在
  • 真空管アンプと組み合わせる楽しみ

ビクターの歴史と昭和の名機たち

ビクターの歴史と昭和の名機たち

レコードの世界:イメージ

ビクター、正式には日本ビクター株式会社の歴史は、JVCケンウッド公式サイトの沿革にも記されている通り、1927年にアメリカの大手レコード会社「ビクタートーキングマシンカンパニー」の日本法人として設立されたことに始まります。当初より、音楽ソフトであるレコードと、ハードである蓄音機・プレーヤーを両輪として事業を展開し、日本の音楽・オーディオ文化の黎明期を支える重要な役割を担いました。

戦後の復興期を経て、1954年には松下電器産業(現・パナソニック)と提携。ここから総合電機メーカーとしての基盤を固め、オーディオ分野でも独自の技術開発を加速させていきます。そして、ビクターの名を世界に轟かせたのが、1976年に発表した家庭用ビデオ規格「VHS」の開発です。この世界標準を確立した高い技術力と開発思想は、レコードプレーヤーの分野にも色濃く反映されていました。

特に、日本のオーディオ文化が黄金期を迎えた1970年代、ビクターのプレーヤー開発は大きな転換点を迎えます。その中心にいたのが、1973年から開発チームに加わった技術者・菅野敏氏です。彼の卓越した技術と情熱は、モーターの制御技術やトーンアームの設計思想に革新をもたらし、ビクターのプレーヤーを「名機」と呼ばれる領域へと押し上げました。

その思想が結実した初期の傑作が、1972年発売のプレーヤーシステム「JL-B77」です。このモデルの最大の特徴は、不要な振動を徹底的に排除する「無共振思想」に基づいて設計されたキャビネットでした。高密度なブナ材を幾重にも重ね合わせた積層合板を使用することで、スピーカーからの音圧(ハウリング)や外部振動の影響を最小限に抑え、レコードに刻まれた音だけを忠実に拾い上げることを可能にしたのです。この重厚長大なキャビネット設計は、当時の業界に衝撃を与え、他社の製品開発にも多大な影響を及ぼしました。

豆知識:総合メーカーとしての強み

ビクターはプレーヤーだけでなく、アンプやスピーカーも自社で開発・製造していました。特にスピーカーの名機として名高い「SX-3」は、ヨーロッパ製の高級スピーカーに匹敵すると絶賛され、空前の大ヒットを記録します。このように、音の入口から出口までを知り尽くした総合メーカーであったからこそ、システム全体として調和の取れた、レベルの高い製品を生み出すことができたのです。

qlシリーズを含む歴代モデルの一覧

qlシリーズを含む歴代モデルの一覧

レコードの世界:イメージ

ビクターが世に送り出した数多くのレコードプレーヤーの中でも、その技術力の高さを最も象徴し、現在の中古市場でも中核的な人気を誇るのが「QLシリーズ」です。「QL」とは、水晶(Quartz)の極めて正確な振動を利用してモーターの回転を制御(Lock)する「クォーツロック・ダイレクトドライブ方式」の頭文字を取ったものです。

レコードプレーヤーの音質を左右する最も重要な要素の一つに、ターンテーブルの回転精度があります。従来のベルトドライブ方式やアイドラードライブ方式では、ベルトの伸びやゴム車の劣化により、わずかな回転ムラ(ワウ・フラッター)の発生が避けられませんでした。しかし、クォーツロックDD方式は、モーターの回転軸に直結したターンテーブルの速度を水晶発振子からの基準信号と比較し、常に寸分の狂いなく補正し続けるため、原理的に極めて高い回転精度を実現できます。これにより、音の揺らぎや濁りがなくなり、ピアノや弦楽器の音が非常にクリアに再生されるようになりました。

ここでは、ビクターの技術革新を物語る代表的なモデルを、より詳細なデータと共に紹介します。

ビクター レコードプレーヤー 代表モデルスペック表
発売年 機種名 駆動方式 価格(当時) ワウ・フラッター 重量 特徴
1976年 QL-7R クォーツDD 67,500円 0.025% 12.0kg 高い安定性を誇るQLシリーズの初期ヒットモデル。
1978年 QL-A7 クォーツDD 85,000円 0.025% 14.0kg 重量級キャビネットと操作性の良さで人気を博したセミオートの名機。
1979年 QL-Y5 クォーツDD 69,800円 0.02% 10.5kg 針圧やアンチスケーティングを電子制御する画期的な「電子JVCアーム」を初搭載。
1979年 QL-Y7 クォーツDD 96,000円 0.02% 13.0kg QL-Y5の上位機種。より高精度な電子制御を実現し、高い評価を得た。
1981年 QL-A95 クォーツDD 170,000円 0.018% 20.0kg 20kgの超重量級設計とアームパイプ交換機能を備えた、ビクター史上最高級機の一つ。
1981年 QL-Y55F クォーツDD 75,000円 0.015% 12.0kg 電子制御アームとフルオート機構を両立させた、機能性と音質で人気のベストセラーモデル。
1983年 QL-Y66F クォーツDD 85,000円 0.015% 12.3kg Yシリーズの集大成。アームパイプ交換機能も備え、多彩なカートリッジに対応可能。

この表からもわかるように、ビクターは単に回転精度を追求するだけでなく、「電子制御トーンアーム」という独自の技術で、レコード再生の理想を追い求めていました。これは、アームの水平・垂直方向の動きをセンサーで検出し、リニアモーターで補正することで、レコードのソリや偏心による悪影響を打ち消す画期的な技術です。こうした先進的な取り組みが、ビクターのプレーヤーを唯一無二の存在にしているのです。

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表中の「ワウ・フラッター」は回転ムラの少なさを示す数値で、小さいほど高性能です。当時の高級機でも0.03%程度が一般的だった中、ビクターのQLシリーズがいかに優れた数値を出していたかがわかりますね。この技術的なアドバンテージが、クリアで安定したサウンドの源泉となっています。

アンティーク・レトロなデザインの機種

アンティーク・レトロなデザインの機種

レコードの世界:イメージ

ビクターのレコードプレーヤーが、製造から数十年を経た現代においても多くの人々を惹きつける大きな要因、それは性能や音質だけにとどまりません。時代を超越した普遍的な美しさを持つ、その優れたデザイン性もまた、特筆すべき魅力です。

特にオーディオブームが最高潮に達した1970年代から80年代初頭のモデルには、当時の日本のものづくり文化が凝縮されています。この時代のデザインを象徴するのが、風格漂う木目調のキャビネットです。オイルショック後の資源高騰という背景がありながらも、ビクターは銘木を贅沢に使用したり、あるいは木材加工技術を駆使して深みのある美しい仕上げを施したりしたモデルを数多く生み出しました。JL-B41やQL-A7に見られる、丁寧に仕上げられたローズウッド調やウォールナット調のキャビネットは、単なる工業製品の枠を超え、高級家具のようなたたずまいを醸し出しています。

細部に目を向ければ、そのこだわりはさらに明確になります。

ディテールに宿るデザインの魅力

  • 操作部の質感: アルミの無垢材から削り出された重量感のあるノブや、クリック感の心地よいトグルスイッチなど、触れるたびに満足感を得られる操作部。
  • トーンアームの造形美: S字型やストレート型など、機能性を追求した結果生まれたトーンアームの流麗なフォルム。軸受け部分の精密な作り込みも芸術的です。
  • 重厚なダストカバー: 近年の製品に見られる薄いアクリルとは一線を画す、厚みがあり透明度の高いダストカバー。プレーヤー全体に安定感と高級感を与えています。
  • インシュレーターの設計: 外部振動を遮断するという機能だけでなく、デザイン上のアクセントとしても重要な役割を果たす、大型で凝ったデザインの脚部。

これらのデザインは、単に懐かしい「レトロ」という言葉だけでは片付けられません。機能性を追求し、最高の素材を惜しみなく投入したからこそ生まれた「機能美」であり、現代のミニマルなデザインとは対極にある、物質的な豊かさと存在感を放っています。音楽を聴くという行為を、より深く、特別な時間にしてくれる。それこそが、ビクターのアンティークプレーヤーが持つデザインの真価と言えるでしょう。

手軽に楽しめるポータブル型も存在

手軽に楽しめるポータブル型も存在

レコードの世界:イメージ

重厚長大な高級機のイメージが強いビクターですが、その製品ラインナップは驚くほど多岐にわたっていました。オーディオを一部のマニアのものではなく、より多くの人々に届けたいという想いから、彼らはスタイリッシュで手軽に楽しめるポータブル型のレコードプレーヤーも数多く開発していました。

その中でも特に象徴的な存在が、鮮やかなカラーリングで目を引くアタッシュケース型のプレーヤー「PE-8400」です。ハンドルを持ってどこへでも持ち運べ、ケースを開けばすぐにレコードが楽しめるというコンセプトは、人々のライフスタイルが多様化し始めた時代の空気を的確に捉えていました。「一家に一台」のステレオセットから、「一人一台」のパーソナルな音楽体験へ。そんな変化の兆しを体現したモデルと言えます。

これらのポータブル機は、本格的なコンポーネントシステムとは異なり、スピーカーとアンプを内蔵したオールインワン設計が特徴です。複雑な配線は一切不要で、コンセントに繋ぐだけですぐに音楽を楽しめる手軽さが最大の魅力でした。音質こそハイファイには及びませんが、当時の若者たちが自分の部屋で好きなレコードを聴くには十分な性能を持っていました。

モジュラーステレオという選択肢

ポータブル機と本格コンポの中間に位置するのが、「モジュラーステレオ」と呼ばれる製品群です。プレーヤー、チューナー、アンプが一体となったレシーバー部に、左右のスピーカーを接続するスタイルの製品で、ビクターも「STL-***」といった型番で数多く展開していました。レトロフューチャーなデザインのものが多く、これもまたコレクターズアイテムとして人気があります。

現代において、これらのポータブル機は新たな価値を見出されています。そのレトロポップなデザインは、ミッドセンチュリーやスペースエイジといったインテリアスタイルとの相性が抜群で、部屋のアクセントとして置くだけでも空間をおしゃれに演出してくれます。もちろん、メンテナンス次第では今でも現役で音楽を再生可能。カフェやアパレルショップのBGM用として、あるいは気軽にアナログレコードの雰囲気を楽しむ入門機として、その存在価値は決して失われていません。

真空管アンプと組み合わせる楽しみ

真空管アンプと組み合わせる楽しみ

レコードの世界:イメージ

ビクターのレコードプレーヤーが奏でる、豊かで人間味あふれるアナログサウンド。その魅力をさらに深く、官能的な領域まで引き出したいと願うオーディオファンが最終的に行き着く組み合わせの一つが、真空管アンプです。

なぜ、レコードと真空管の相性はこれほどまでに良いと言われるのでしょうか。その理由は音響物理学的な特性にあります。一般的に、トランジスタアンプが発生させる歪みは「奇数次倍音」が主であるのに対し、真空管アンプは楽器の音色を豊かにする成分と同じ「偶数次倍音」を多く含んだ歪みを発生させます。この偶数次倍音が、音に艶、厚み、そして心地よい響きを加え、音楽をより魅力的で聴き疲れのしないものにしてくれるのです。

この真空管の特性と、ビクター製プレーヤーの持つサウンドキャラクターとの組み合わせは、素晴らしい相乗効果を生み出します。

  • QLシリーズとの組み合わせ: クォーツロックDD方式による正確無比でクリアなサウンドが、真空管の持つ温かみや倍音の豊かさと融合することで、「冷たい高解像度」ではなく「人間的な温かみのあるクリアさ」という理想的なサウンドが生まれます。特にジャズのピアノトリオや女性ヴォーカルを聴けば、その生々しさに息をのむことでしょう。
  • JLシリーズ(ベルトドライブ機)との組み合わせ: ベルトドライブならではの滑らかで柔らかなサウンドキャラクターが、真空管アンプによってさらに引き立てられます。弦楽器やクラシック音楽の再生では、コンサートホールのような豊潤な響きと奥行き感を再現してくれます。

接続前の重要確認:フォノイコライザーについて

レコードプレーヤーを真空管アンプ(に限らず現代の多くのアンプ)に接続する際には、注意が必要です。レコードに記録されている信号は非常に微弱な上、「RIAAカーブ」という特殊なイコライジングが施されています。そのため、信号を増幅し、周波数特性を元に戻すための専用回路「フォノイコライザー」が不可欠です。 アンプに「PHONO」入力端子があればフォノイコライザーが内蔵されていますが、無い場合は別途、単体のフォノイコライザーを用意する必要があります。また、カートリッジには大きく分けてMM型とMC型があり、それぞれ対応するフォノイコライザーが異なるため、ご自身の使用するカートリッジの仕様を必ず確認してください。

真空管の灯りを眺めながら、ビクターのプレーヤーが紡ぎ出すアナログの音に身を委ねる。それは、音楽を聴くという行為が、日々の喧騒を忘れさせてくれる至福の儀式に変わる瞬間です。


中古のビクター レコード プレーヤー入手ガイド

中古のビクター レコード プレーヤー入手ガイド

レコードの世界:イメージ

  • 中古品やヤフオクでの探し方のコツ
  • 現在の買取相場と査定ポイント
  • ベルト交換など必要な修理について
  • 最適なスピーカーとステレオの構成
  • 今あえて選ぶビクター レコード プレーヤー

中古品やヤフオクでの探し方のコツ

中古品ヤフオクでの探し方のコツ

レコードの世界:イメージ

数十年の時を経たビンテージ製品であるビクターのレコードプレーヤー。その一台を手に入れるための主なルートは、中古オーディオ専門店やリサイクルショップ、そしてヤフオクに代表されるインターネットオークションです。それぞれにメリットとデメリットが存在するため、自分の知識レベルや目的に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。結論から言えば、製品の状態を正確に見極める「目」と、潜在的なリスクを許容する覚悟が、賢い購入の鍵となります。

まず、オーディオに関する知識がまだ浅い初心者の方に最もお勧めできるのは、信頼できる中古オーディオ専門店です。専門店の最大のメリットは、販売されている製品の多くが、専門の技術者によって点検・整備されている点にあります。消耗部品の交換や内部クリーニング、動作調整が施された「整備済み品」であれば、購入後すぐに安心して使用できます。また、一定期間の動作保証が付いている場合が多く、万が一のトラブルにも対応してもらえます。価格は高めになる傾向がありますが、その分「安心」を買うと考えれば、十分に価値のある選択です。

一方、ある程度の知識があり、少しでも安価に入手したい、あるいは希少なモデルを探したいという方にとっては、ヤフオクが魅力的な選択肢となります。しかし、個人間の取引が基本となるため、大きなリスクを伴うことを理解しておく必要があります。

ヤフオク・個人売買での詳細チェックリスト

  • 商品説明の熟読: 「音出し確認済」という言葉だけでなく、「33/45回転共に安定」「オートリターン、リジェクト機能正常」など、どの機能まで確認したかが具体的に書かれているかを見極めます。「通電確認のみ」「動作未確認」は、ほぼジャンク品(故障品)と考えるべきです。
  • 写真の細部確認: 本体全体の写真だけでなく、ヘッドシェルやカートリッジの針先のアップ、ダストカバーのヒンジ部分、ゴムマットの状態、背面端子部分など、細部の写真が掲載されているかを確認します。傷や破損箇所は、写真で隠されていないか注意深く観察しましょう。
  • 出品者の評価: 過去の取引評価、特に「悪い」評価の内容を確認します。「商品説明と状態が違った」「梱包が雑だった」といった評価が多い出品者からの購入は避けるのが賢明です。
  • 付属品の完全性: 純正のヘッドシェル、カウンターウェイト、EPアダプターなど、細かな付属品が揃っているかは、後から探すと意外と大変で高価な場合があります。付属品のリストをしっかり確認しましょう。
  • 梱包・発送方法: レコードプレーヤーは非常にデリケートな精密機器です。輸送中の振動で故障するリスクが極めて高いため、出品者が適切な梱包(プラッターやウェイトを外して固定するなど)をしてくれるか、事前に質問して確認することをお勧めします。

最終的にどのルートを選ぶにしても、焦りは禁物です。購入したいモデルの相場や特徴を事前にしっかりとリサーチし、納得できる一台が見つかるまでじっくりと探す姿勢が、後悔のないビンテージオーディオライフへの第一歩となります。

現在の買取相場と査定ポイント

現在の買取相場と査定ポイント

レコードの世界:イメージ

もしご自宅に使用していないビクターのレコードプレーヤーが眠っているなら、それは思わぬ価値を持つ「お宝」かもしれません。近年、世界的なアナログレコードブームや円安の影響を受け、日本のビンテージオーディオ機器、特に70〜80年代の高性能なモデルは国内外で再評価が進み、中古市場での価格も上昇傾向にあります。あわせてレコードの生産も増えています。(参照:一般社団法人 日本レコード協会 生産実績

買取価格を決定する最大の要因は、言うまでもなく「正常に動作し、本来の性能を発揮できるか」という点です。しかし、それ以外にも査定額を大きく左右する複数のポイントが存在します。

例えば、最高級機として知られるQL-A95や、電子アーム搭載の最終世代機QL-Y77Fといったフラッグシップモデルは、需要が供給を上回るため、完動美品であれば10万円を超える高額査定も夢ではありません。一方で、普及価格帯のモデルであっても、状態が極めて良好であったり、希少な純正カートリッジが付属していたりする場合には、予想以上の価格が付くこともあります。

詳細な査定ポイントと価格への影響

①モデルの人気と希少性
市場での需要が最も高いのはQL-Aシリーズ、QL-Yシリーズの上位機種。生産台数が少ないモデルや、海外で特に人気の高いモデルは高値が付きやすい傾向にあります。
②動作状態
「完動品」が最高評価。回転不良、アームの不具合、音が出ないなどの症状がある場合は大幅な減額、あるいは「ジャンク品」としての買取となります。
③外観コンディション
キャビネットの傷、打痕、日焼けによる色褪せ、金属部分の錆やくすみは減額対象です。特にダストカバーの透明度や、割れ・ヒビの有無は厳しくチェックされます。
④付属品の有無
購入時の元箱、取扱説明書、純正ヘッドシェル、各種ウェイト類、EPアダプターなどが揃っている「ワンオーナー品」は、コレクターからの需要が高く、査定額が大きく上乗せされます。
⑤カートリッジの状態
純正カートリッジが付属しているか、あるいは当時ものの高級MCカートリッジなどが装着されている場合もプラス査定の対象となります。針が折れていたり、消耗が激しい場合は評価されません。

重要なのは、たとえ故障している「ジャンク品」であっても、すぐに処分しないことです。QL-A95のアーム部分や、特定のモデルにしか使われていないスイッチ類など、部品単体でも高い価値を持つパーツは数多く存在します。修理用・部品取り用としての需要があるため、故障していても値段が付くケースは少なくありません。まずはオーディオ専門の買取業者に写真を送るなどして、無料査定を依頼してみることを強くお勧めします。

ベルト交換など必要な修理について

ベルト交換など必要な修理について

レコードの世界:イメージ

無事に中古のレコードプレーヤーを手に入れた後、その性能を長く維持するためには、適切なメンテナンスと、時には修理が必要になります。特にビンテージ製品の場合、経年劣化しやすい消耗部品の交換は避けて通れません。ここでは、オーナー自身で対応可能な基本的なメンテナンスから、専門家の助けが必要な修理までを解説します。

オーナー自身で可能な基本メンテナンス

1. ベルトの交換(ベルトドライブ機の場合) モーターの力をターンテーブルに伝えるゴム製のベルトは、最も劣化しやすい部品の一つです。数年から十年程度で伸びたり硬化したりし、回転ムラの原因となります。ベルト交換は比較的簡単で、多くのモデルではターンテーブルのゴムマットとプラッター(円盤)を持ち上げるだけで古いベルトにアクセスできます。新しいベルトはネット通販などで数千円で入手可能です。交換の際は、プーリー(モーター軸)やプラッター内周のベルトがかかる部分を、無水エタノールを含ませた布で清掃すると、より効果的です。

2. 針(スタイラス)の交換 レコードの溝を直接トレースする針先は、ダイヤモンドなどの硬い素材でできていますが、それでも徐々に摩耗していきます。摩耗した針を使い続けると、高域が歪んだり、最悪の場合レコード盤を傷つけたりする原因になります。中古で購入した場合、前のオーナーの使用時間が不明なため、基本的には新品の針に交換することが推奨されます。カートリッジの型番を元に、純正の交換針または互換性のある針を探しましょう。

専門家への相談を検討すべき修理

以下の症状が見られる場合は、内部の電子回路や複雑なメカニズムに問題がある可能性が高く、専門的な知識や測定器がないと修理は困難です。無理に分解しようとすると、かえって状態を悪化させる危険性があります。

  • ダイレクトドライブ機での回転数異常: クォーツロックがかからず回転が不安定な場合、制御回路のコンデンサやトランジスタ、ICなどの電子部品の寿命が考えられます。
  • オート機能の不具合: アームが正常にレコードの最後まで行かない、演奏終了後に戻らない、といった症状は、内部のギアの固着やセンサーの故障が原因であることが多いです。
  • 継続的なノイズや片チャンネルの音途切れ: アーム内部の極細配線(リードワイヤー)の断線や、フォノイコライザー回路の不具合などが考えられます。
  • 電源が入らない: 電源部のヒューズ切れから、トランスや電源回路の故障まで、原因は多岐にわたります。

幸い、日本にはビンテージオーディオの修理を専門に行う優れた技術者が数多く存在します。メーカーでの修理サポートが終了した古いモデルであっても、こうした専門業者に依頼すれば、往年の性能を取り戻すことが可能です。修理費用は決して安くありませんが、愛着のある一台を末永く使い続けるための投資と考えることもできるでしょう。

最適なスピーカーとステレオの構成

最適なスピーカーとステレオの構成

レコードの世界:イメージ

レコードプレーヤーは、単体で音を出すことはできません。アンプで信号を増幅し、スピーカーで音に変換するという一連のシステムがあって、初めて音楽を奏でることができます。そして、このシステム全体の調和こそが、良い音で音楽を楽しむための最も重要な要素です。ビクターのプレーヤーが持つポテンシャルを最大限に引き出すための、最適なコンポーネント選びについて考えてみましょう。

一つの理想的な組み合わせとして挙げられるのが、プレーヤーと同じビクター製のスピーカーやアンプでシステムを統一することです。前述の通り、ビクターはスピーカーの名門でもあり、特に「SXシリーズ」は日本のスピーカー史に名を刻む傑作として知られています。

  • SX-3 (1972年発売): 国産スピーカーの評価を覆した歴史的名機。密閉式のエンクロージャーと西ドイツ製コーン紙を採用したウーファーが奏でる、引き締まった低音と透明感のある中高音が魅力です。
  • SX-500シリーズ (1989年発売~): ドイツ・クルトミューラー社製のスプルース材を振動板に使用した、艶やかで美しい響きを持つスピーカー。クラシックやヴォーカルとの相性は抜群です。

これらのスピーカーと、同時期に開発されたビクターのプレーヤーを組み合わせることで、当時の開発者が目指したであろう「ビクターサウンド」の思想を、最も純粋な形で体験することができます。同じメーカーならではの音色の統一感は、何物にも代えがたい魅力があります。

もちろん、現代の最新スピーカーと組み合わせることも、非常に興味深い楽しみ方です。最新スピーカーの持つ高い解像度や広い周波数レンジは、レコードに刻まれた情報を余すところなく引き出し、これまで聴こえなかった細かな音を発見させてくれるかもしれません。その際は、あまり分析的になりすぎず、音楽的に心地よいと感じられる組み合わせを探すことが大切です。例えば、イギリス製のスピーカー(B&W, KEF, Tannoyなど)が持つ、音楽性豊かなサウンドは、ビクターのプレーヤーとも良好な相性を示すことが多いと言われています。

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アンプ選びもシステムの音質を決定づける重要な要素です。70~80年代の国産プリメインアンプは、優秀なフォノイコライザーを内蔵しているモデルが多く、コストパフォーマンスに優れています。サンスイのAUシリーズや、パイオニアのSAシリーズなどは、力強く音楽的なサウンドで、ビクターのプレーヤーとも相性抜群です。ぜひ、色々な組み合わせを試して、自分だけの音を見つけてみてください。

今あえて選ぶビクター レコード プレーヤー

今あえて選ぶビクター レコード プレーヤー

レコードの世界:イメージ

  • ビクターは1927年設立のレコードと蓄音機から始まった日本の名門
  • 1970年代のオーディオブーム期に技術革新が進み数々の名機が誕生した
  • JL-B77の無共振思想キャビネットは当時の業界に大きな影響を与えた
  • QLシリーズは水晶発振子で制御する高精度なクォーツロックDD方式で絶大な人気を博した
  • レコードのソリや偏心を補正する画期的な電子制御トーンアームも開発
  • 重厚な木目調キャビネットなどアンティークとしても価値の高いデザインが魅力
  • PE-8400のような手軽でおしゃれなポータブル型プレーヤーも製造していた
  • 真空管アンプと組み合わせることで音楽的で温かみのあるサウンドを引き出せる
  • 中古品は専門店なら安心、ヤフオクなら安価だがリスクも伴う
  • 購入時は動作状況や外観、付属品の有無を詳細にチェックすることが重要
  • QL-A95やQL-Y77Fなどのフラッグシップ機は現在も高値で取引されている
  • 故障したジャンク品でも修理用パーツとして価値があるため処分は慎重に
  • ベルトドライブ機はベルト交換、全ての機種で針交換が基本的なメンテナンスとなる
  • DD機の回路故障やオート機能の不具合は専門家による修理が必要
  • 同社のSXシリーズスピーカーや当時の国産アンプとの相性も抜群
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